FPとして感じる「繰下げ受給」の落とし穴
私は
ファイナンシャルプランナーとして、
年金相談を数多く受けています。
その中でも特に意見が分かれるのが、
です。
最近はネットやYouTubeでも、
「長生きするなら絶対得」
「65歳ですぐもらうのは損」
といった情報をよく見かけます。
確かに、繰下げ受給には
大きなメリットがあります。
しかし実際の相談現場では、
と後悔する人も少なくありません。
年金は単純な損得だけではなく、
・貯蓄
・働き方
・家族状況
・精神的な安心感
まで含めて判断する必要があります。
今回は、
70歳まで繰下げ受給を選択した
72歳男性のリアルな体験談を
ご紹介します。
72歳男性の年金繰下げ体験談
私は会社員として65歳まで働きました。
退職する頃には、
貯金もある程度ありましたし、
「まだ働けそうだな」
という感覚もありました。
そんな時に見たのが、
という情報です。
ネットでも、
テレビでも、
YouTubeでも、
という話ばかりでした。
確かに魅力的でした。
私は65歳時点で受け取ると、
月15万円ほどの年金でした。
しかし
20万円を超える計算
だったんです。
その数字を見た時、
もったいない」
と思いました。
「まだ働けるから大丈夫」
当時の私は、
70歳までは働くつもりでした。
実際、再雇用で仕事も続けていました。
だから、
「年金は後でもいい」
と考えていたんです。
むしろ、
生活できるなら、
増やしたほうが得だろう」
という感覚でした。
周りにも、
と言われていました。
私自身も、
“老後の正解を選んだ”ような気持ちに
なっていました。
状況が変わったのは68歳の時
しかし68歳の時、
大きく状況が変わりました。
体調を崩したんです。
最初は軽い不調でした。
ですが徐々に仕事がきつくなり、
結局、退職することになりました。
そこから生活が
一気に不安定になりました。
収入が減ったことで、
・医療費
・光熱費
・食費
すべてが重く感じるようになったんです。
その頃になると、
私は毎日のように考えていました。
よかったんじゃないか・・・」
と。
一番後悔したのは「安心感」を失ったこと
繰下げ受給で後悔した理由は、
単純な損得ではありません。
一番つらかったのは、
です。
周囲からは、
「70歳から増えるんだから得だよ」
と言われました。
でも実際の生活では、
「今のお金」のほうが重要でした。
・病院代を気にする
・スーパーで値段ばかり見る
将来よりも、
「今月どうするか」で
頭がいっぱいになる。
その生活が、
想像以上につらかったんです。
70歳から年金は増えた。でも…
70歳になり、
ようやく繰下げした年金を
受け取り始めました。
確かに年金額は増えました。
毎月20万円を超える年金が
入るようになった時は、
確かに安心もありました。
ですが同時に、
もらっておけばよかった」
という気持ちも強く残りました。
本当にお金が必要だったのは、
だったのかもしれません。
今は体力も落ち、
昔ほどお金を使う機会もありません。
だから時々思うんです。
「増えることだけ考えすぎたな・・・」
と。
「繰下げ受給 後悔」と検索していた理由
実は68歳頃、私は毎日のように、
「繰下げ受給 後悔」
と検索していました。
当時は、
「繰下げしない人は損」くらいに
思っていました。
でも実際には、
・働ける年齢
・貯蓄
・家族状況
によって、正解は全然違うんです。
特に私は、
で考えていました。
でも人生は、
予定通りにはいきませんでした。
この体験談に対するFPとしてのアドバイス
この72歳男性のケースは、
繰下げ受給の難しさを非常によく
表しています。
最近は、
のような情報も多くあります。
確かに数字だけで見ると、
繰下げ受給は非常に魅力的です。
老齢年金は、1ヶ月繰下げるごとに
0.7%増額されます。
70歳まで繰下げると、
65歳受給と比べて42%増える計算に
なります。
ですが、現場で本当に重要なのは、
「いくら増えるか」
だけではありません。
・今の生活に余裕があるか
・“安心感”を優先するか
・元気なうちにお金を使いたいか
こうした“人生設計”の視点が
非常に重要です。
また、
繰下げ中に、体調悪化や
収入減少が起こるケースは、
実際かなり多くあります。
そのため私はFPとして、
「繰下げ=絶対得」
とは考えていません。
むしろ、
・健康状態
・働く予定
・家族の状況
を踏まえ、
安心できる受け取り方”
を考えることが大切だと
思っています。
年金は投資ではありません。
人生を支える“生活費”です。
だからこそ、
単純な損得だけではなく、
まで含めて判断することが
重要なのです。
もし今、
「繰下げ受給 後悔」
と検索して不安を感じているなら、
“年金額が増えること”
だけではなく、
という視点でも、
一度考えてみてください。
